重層長屋のデメリットとメリットを解説
2021.03.17暮らし長屋や重層長屋は、テラスハウスとも呼ばれ、一戸建てのような感覚で住めることから注目を集めています。
しかし、重層長屋には、一般的には伝えられないメリットとデメリットが存在します。
今回は、重層長屋を検討している方に向けて、メリットとデメリットを詳しくお伝えしていきます。
重層長屋のデメリット
重層長屋のデメリットは3つあります。
・騒音問題
・デザインを工夫できない
・火災のリスク
騒音問題
重層長屋は、住居が上下に分かれているため、下の階は上の階の騒音に悩まされることがあります。
階段を上り下りする音、移動の足音、物を動かすときの音などが響くことがあります。
特に木造の重層長屋の場合は、騒音問題が多くなりやすいです。
下の階に気遣いがない住人が2階に住んでいると、騒音が気になるかもしれません。
また、重層長屋は左右にも住居が重なり合っているため、窓を開けていると会話や子供のはしゃぎ声などが聞こえます。
神経質の方にはストレスを感じやすいでしょう。
デザインを工夫できない
重層長屋の場合、1階部分に階段が設置されるため、1階が狭く2階が広くなる構造です。
そのため、特に1階は間取りのデザインを工夫できません。
共同住宅の場合は、階段が共用スペースに設けられているため、住居の間取りは均一な場合が多いです。
重層長屋は階段や廊下などの共用スペースがない分、間取りが均一ではありません。
間取りのデザインにこだわりたい方にとっては理想の生活空間を手に入れることが難しくなるでしょう。
火災のリスクが高い
重層長屋は、住戸が上下左右に重なり合っているため、火災が発生すると燃え移りやすい構造になっています。
また、重層長屋は狭い土地でも建設できることから、建物が密集しやすい傾向にあります。
そのため、特に長屋が多く建設されるエリアでは、1つの住戸から火災が発生すると、延焼が起こりやすいです。
重層長屋は、特殊建築物に該当しないため、消火や避難など消火活動上必要な設備の設置が義務付けられておらず、法規制の対象外となっております。
住人1人ひとりが火災を発生させないよう対策や予防を行いつつ、火災に備える姿勢が大切になってきます。
重層長屋のメリット
重層長屋のメリットを3つ紹介します。
・プライバシーを確保できる
・法的規制が緩やか
・建築が困難な場所でも建てられる
プライバシーを確保できる
重層長屋は、マンションやアパートのように共用の玄関や廊下がありません。
そのため、住人とすれ違うこともなく、プライバシーを保ちやすいです。
近所付き合いが苦手な方にとっては、住人と顔を合わせることがないためストレスを感じにくいでしょう。
法的規制が緩やか
重層長屋は、建築基準法の「特殊建築物」に該当しません。
特殊建築物とは、不特定多数の人が利用する建物や規制を設けるべき建築物のことです。
不特定多数の人が利用する商業施設や病院などは、安全性を担保する観点から、防火や避難に関する基準が定められています。
都道府県によって特殊建築物に指定されるマンションの条件は異なりますが、規模が大きいマンションは特殊建築物に指定されます。
一方で重層長屋は、特殊建築物には該当しません。
オーナー側としては、法的規制が緩いため、建築しやすいメリットがあります。
建築が困難な場所でも建てられる
重層長屋は、狭小地や変形地でも建てやすいです。
土地が狭いと用途が限られてしまい、一戸建てや部屋数が多いマンションを建てるのは難しいです。
接道義務の観点から、災害時の避難経路を確保するために、接している道路が4m以上必要となり、ある程度の土地面積が必要です。
しかし、重層長屋は接する道路が2m以上あれば建築できるため、敷地面積が狭く、奥まった土地でもうまく活用できます。
階段や廊下、玄関などの共有スペースも必要ないことから、建築費も抑えることができます。
おわりに
重層長屋のメリットとデメリットを紹介しました。
重層長屋には、騒音問題に悩まされることや火災のリスクが高くなるデメリットがあります。
一方で、プライバシーを確保できることや建築が難しい土地でもうまく活用できるメリットがあります。
デメリットとメリットを比較した上で、重層長屋をご検討ください。
重層長屋に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:重層長屋とは?建築基準法による定義を解説
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